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カジュアル起業【読書】

【週末起業】カジュアル起業【読書】

2023年も終わりに差し掛かっている現在においては、この本が書かれた10年近く前の状況に比してもよりリアルにカジュアル起業という言葉が合うような程度には気軽に起業できるようになっている。またその成功のために必要な要素も大きく異なっており、綿密な計画や豊富なネットワークといった旧来の重要な要素はあまり必須ではなくなり、気軽に、ある意味では適当に(その多くは一発屋的な感じで仮に終焉をすぐに迎えているとしても少なくとも)起業をしてトライアンドエラーを体験できるのは、素晴らしい世の中になったと言えるのかもしれない。

目次

カジュアル起業 by 箱田髙樹

週末起業や週末起業チュートリアルなどのような本とは少し趣向が異なっており、もっと具体的な事例を交えた形でのビジネスを紹介している本になる。週末起業とカジュアル起業は、当然ではあるがコアな部分は起業であり、多くは重なり合っているのであろう。

そのきっかけや、最終的なポイントにたどり着くまでの理由づけなどには大きな違いがあるがカジュアル起業の方は、もう少し精神論的な部分が全面に出てきているような印象がある。内容そのものは全く精神論とかではない点には言及しておきたい。

目次は以下。

  • 序章:カジュアル起業が増えている理由
  • 第1章:エゴなエコで社会を変える。アキバのオタクが世界を救う
  • 第2章:土日のカフェでコツコツ始めた、プラモ投稿自慢サイト
  • 第3章:「アメカジ」と「アダルト」のリバーシブルな隠れ家
  • 第4章:栃木の小さな町にある、小さな肉屋はギターショップ!?
  • 第5章:人と人、東京と山形・・・・いろんなスキマを埋める週末限定バー
  • 第6章:街の「軒先」をつなぎあわせ、宝物に変えてみた
  • 第7章:おいしいお茶をいれたいから、軽自動車が茶室になった
  • 第8章:日本一の鉄道模型店の原点は、オトナ買いにあり

本全般にわたって

特に何かのノウハウがあるわけではなく、著者の経験と会ってきた人の中から、カジュアル起業というコンセプトに会うであろう人とビジネスを紹介している本になる。「好き」を極めて自分らしい人生を邁進する姿を打ち出そうとしている印象なので、こちらの本も10年以上昔の本にも関わらず、逆に今っぽいという印象だ。

登場する人達の悲観的なストーリーはあまりなく、なんとなく登場人物たちの楽しげな笑顔が想像できてしまうようなストーリー展開になっている。また、紹介されているビジネスは、現在も生き残っている(ように見える)ものあり、カジュアル起業という形で始めたものがしっかりとした法人となって成功している様子が確認できるのは率直にすごいことだと思う。

起業をするにあたって、どのようなきっかけがあり、テクニカルではない話や決意に至るまでの心の動きに興味がある人であれば楽しく読めるのではないかと思う。また、東北の大震災のタイミングを挟んでの著書となっているので、だからこそ尊い命が一瞬で失われる経験を見聞きした人達へのメッセージとして、「無駄に出来る時間はない」「笑顔でできる仕事をしてほしい」といったようなメッセージが含まれている。

この本のターゲット

  • 震災を通して、儚い命を実感し、いつ失われるかわからない人生なら自分らしく生きたいと思った人達
  • 週末起業に興味を持っているが何をしたらよいかわからないもののエネルギッシュな人達

実際には、震災前に書き始めているので、震災の後の…みたいなターゲットは後から生まれているのかもしれません。いや、実際にはそこはターゲットではないのかもしれませんね。いずれにしても自分の力で自分自身が笑顔で仕事ができる環境を作り上げた人達の紹介ですので、色々と希望が持てるような内容だ。

結論としては間違いないはず

細かいノウハウやウンチクはない本ですので、逆にすがすがしい気分になる本。カジュアル起業で成功している人たちはみんな笑顔で、笑顔は人間の承認欲求を満たされているから出てくる表情ともいえるのかもしれない。

そんな文章の流れの中で、最終的には単に事例を紹介をしたかったのか、それともカジュアル起業をすべし!という話なのか本の目的が良くわからなくなってしまったのが正直なところでもあるが、紹介されている8つのケースはどれも興味深く読むことができた。

人それぞれ目指している事業の成功規模がどのようなものであるかはわからないが、成功をしている限りは規模は必然的に拡大していくものだと思うので、この本が誰かの背中を押してあげる可能性は十分にあると感じた良書だ。

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この記事を書いた人

遅咲きの桜の物語

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