決して簡単にできるものではないという前提が必要ですが、技術的な側面から他社に対して競争優位のポジションを獲得するために取られる代表的な戦略が「知的財産戦略」と「デファクトスタンダード」の2つです。
知的財産戦略(特許戦略)
特許戦略において知的財産権を企業収益につなげるための戦略目標は以下。
- 自社のイノベーションに対する他社の模倣を防ぐ
- 他社による関連技術の特許化を防ぐ
- 業界における技術的な標準(デファクトスタンダードなど)を自社中心に確立する
- 他社に対する特許侵害リスクを回避する
- クロスライセンス契約における優位性を確保する
- ライセンス供与による収入を確保する
デファクトスタンダード競争
デファクトスタンダード
標準化機関などが定めた規格ではなくて、市場における競争を通じてより多くの採用をされた結果として事実上業界標準となった基準デファクトスタンダードと呼びます。対義語としては前述の標準化機関などに定められた基準デジュリスタンダードになります。
自社が採用する規格をデファクトスタンダードとして確立するために同一規格陣営に属する複数の企業が技術供与やOEM供給などを通じて戦略的に協調行動をとる場合が多く、他方では同じ規格陣営内でも最終的な規格競争の勝者の座を狙って激しい競争が繰り広げられます。
ネットワーク外部性
ネットワーク外部性とは、同じ規格(ネットワーク)に参加する人が多いほど、その規格に参加する人の効用が高まることを意味し、これは技術や品質の優劣に関係なく、より多くの人が利用・参加する(市場シェアを獲得する)規格の方が、利用者間における利便性の向上も手伝い、どんどんユーザー数を増やしていくという現象が発生します。
デファクトスタンダードとネットワーク外部性の例として家庭用VTRが良く出てきます。性能で優っていたベータですが利用者が少ないためコンテンツもあまり増えず、利用者間での貸し借りもできない中でどんどん利用者を減り、さらに利便性が落ちる、という流れでした。他方で、VHSは性能は劣るものの導入初期の普及が早く利用者も増えたためコンテンツも増加。利用者間での貸し借りなどもできるようになり、さらに利用者が増え、それに伴って利便性もさらに向上する、というベータとは全く正反対の形となりデファクトスタンダードとなりました。
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