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労働関連法規(労働基準法)1-1 労働基準法とは

労働契約
目次

労働基準法(労働契約法を含む)

労働関連法規の概要は、一般に労働者の生活・福祉の向上を目的として制定されている法律のことを指します。

  • 労働条件
  • 労働組合
  • 労働関係
  • 労働福祉
  • 社会保険

等々に関係する法律が定められていて、労働力を提供する労働者と、その労働者の使用人となる雇用主との関係を規律する為に用いられます。労働者と使用人との間で発生する諸問題について労働者を保護を図るためのものです。

私のように不真面目な人は、難しいことばかり書いてある労働基準法の本を読むのは睡魔とのバトルに勝利し続けないといけない状況になりますので、深堀して理解したい方は自分の勉強スタイルに合った本を探すことをお勧めします。

労働基準法の概要

法の目的

前述の通り、労働基準法は、労働者を保護する目的で作られています。

これは、特殊な条件下ではない限り労働者は使用者よりも立場が弱くなるのは否めず、労働による対価を得てその対価を(長期的または契約期間の間は)得られるという前提において労働者は生活基盤を確立していくことを考えると、使用者側の一方的な賃金条件や労働時間などの労働条件の変更は労働者側にとっては死活問題であり、また同時に押し付けられた場合にその条件をのまざるを得ない不利な立場となってしまいます。

このような状況を防ぐために、労働基準法では労働条件に一定の基準を定め、労働者保護を目的に使用者へもその基準を守ることを強制する仕組みとなっています。

中小企業診断士の勉強とは少し離れてしまいますが、この辺りの本を読んでおくと小ネタ的な営業トークとしても役に立ちます。

労働条件の原則

労働条件法に定められている労働条件の基準というのは下限として守らなければいけない基準です。例えば一般的に大企業や優良企業と呼ばれるような企業の労働条件は労働条件法に定められている基準をはるかに上回っている場合が大半です。

逆に、中小零細企業、または大企業であっても非正規雇用者や時間単位労働者などのケースにおいては労働条件法の意義がより強く出てくるとも言えます。

ただし、企業の規模如何に問わず下限設定をする労働条件とは別に過労働やサービス残業といったようなそもそも合意した労働条件を逸脱するような問題も存在しておりQOLやワークライフバランスを重視する世代と旧態依然としたワークスタイルを取っている企業との確執は今後ますます高まっていくことも予想されます。

【使用者とは】

事業主(個人事業者であれば個人事業主自身、法人であれば法人自身)または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主の為に行為をする全ての者をさす。

【労働者とは】

職業の種類を問わず、事業または事業所に使用される者で賃金を支払われる者を指す。

【労働条件とは】

賃金、労働時間、解雇など労働者の職場におけるすべての待遇を指す。

労働条件の決定

「実際にはそのような形にはなっていない!」という現実的な話を置いておくとすれば、そもそも労働条件というものは労働者と使用者が対等の立場で決定すべきものになります。そしてその対等な立場として双方の合意を得た、労働協約や就業規則、労働契約といった内容に対して双方が誠意をもって守る必要があるものです。

労働協約 労働組合と使用者が労働時間などについて結び協定
就業規則 会社で労働者が働くうえで守るべき職場規律や賃金、労働時間などの労働条件について具体的に定めた規則
労働契約 労働者一人ひとりが会社に入るときに使用者と取り交わす契約

労働契約

労働契約とは

労働契約は、使用者(雇用主)が労働者(雇用者)に対して労働の対価として賃金を支払うという取り決めをすること。労働契約書という言葉よりは「雇用契約書」と表現されることの方が多い気もします(完全なる主観)。

労働契約の内容として、労働条件(賃金、労働時間、休暇日数、その他)も取り決めが行われるのが一般的で、労働契約書にてどのような仕事内容で、どれくらいの労働時間や休暇、それに伴う諸条件の上でどの程度の賃金を支払うか、といった内容に双方の合意が行われて初めて成立することになります。

契約期間

契約期間には、無期と有期があります。一般的な「正社員」とは契約期間の定めのない無期労働契約で、それ以外の雇用形態のことを「契約社員」と表現していることが一般的でしょう。長期の労働契約による労働者の拘束という弊害をなくすため、契約期間を定める場合、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、最長期間は3年に限定されています。ただし、労働者が次のいずれかに該当する場合は、5年の労働契約が認められます。

  1. 専門的な知識、技術または経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)
  2. 満60歳以上の労働者
労働契約

労働契約

有期労働契約

労働契約法では、有期労働契約(期間を定めて締結された労働契約)に関する「雇止め(契約期間が満了し、契約が更新されないこと)」を規制するため、以下の規定を設けています。

①無期労働契約への転換(無期転換申込権)

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年(原則)を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより、無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換できます(使用者は拒否できない)。

ただし、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、無契約期間(クーリング期間)が6か月以上(原則)あるときは、通算期間がリセットされます。

②有期労働契約の更新等(雇止め法理)

有期労働契約の反復更新により、無期労働契約と実質的に異ならない状態で契約が存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたとみなされます。

③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件(一切の労働条件が含まれる)と相違させることは禁止されています。

就業規則

記載事項

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作り、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

絶対的必要記載事項:

就業規則に必ず記載しなければならない事項

  1. 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に終業させる場合においては就業時転換に関する事項
  2. 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算および支払の方法、賃金の締切および支払の時期ならびに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の自由を含む)
相対的必要記載事項:

定めがあるときは記載しなければならない事項

  1. 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払の時期に関する事項
  2. 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
  3. 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
  4. 安全および衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  5. 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  6. 災害補償および業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  7. 表彰および制裁に関する定めをする場合においては、その種類および程度に関する事項
  8. その他、その事業場に労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
任意的記載事項

使用者が任意に記載することができる事項

作成手続き

使用者は、就業規則の作成または変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければなりません。さらに、就業規則は労働者に周知させなければなりません。

意見を聴けばよいので、同意はいらないことに注意する

効力

就業規則は、法令または当該事業場について適用される労働協約に反してはなりません。

法令・労働協約・就業規則・労働契約の優先順位

法令・労働協約・就業規則・労働契約の優先順位

労働基準法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となる(基準に達している部分は有効)。この場合、無効となった部分は労働基準法で定める基準が適用される。

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この記事を書いた人

遅咲きの桜の物語

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