ここでは合同会社の設立手順についてまとめておきたい。大きくは9つのステップになる。
- 事前調査と計画
- 商号の検討と登記
- 定款の作成
それぞれについて以下に説明していく。
こんなことを言っては元も子もないが、基本的には会社設立支援業者、または会社設立支援アプリなどを活用して作るのが最も確実かつ間違いがないと思うので、それらの利用を強くお勧めする。
事前調査と計画
週末起業からの法人化という意味では、既に事業を行っている前提になるがいずれにしても法人化後にどのような事業をさらに進めていくか、なぜそのような展開が望めるか、それらはどのような計画で行っていくのか等は整理する必要がある。
市場調査
事業が適切な市場で成功する可能性を評価するために、競合他社の分析やターゲット市場のニーズを調査する。週末起業の中で培って成功体験はどのような成功要因があるのか。どのような悪材料があったか、そしてそれはどのように回避したのか。そういった点を踏まえ、週末起業のビジネスが今後も継続・発展をするためにはどのように市場を分析するか等を調査するイメージだ。
ビジネスモデルの検討
収益モデルや事業プロセスの詳細を改めて確認し、事業の持続可能性を確保する目的。週末起業からの法人化に限定すれば、改めて確認すべきは「事業の持続可能性」だけでも最低ラインはクリアできるはずだ。特に本業を完全にやめて法人化および自社のビジネスのみに一本化する場合にはより慎重な検討が必要になるは言うまでもない。
資金調達計画
資本金や資金調達の方法を計画し、必要な投資や支出を予測。ここは前述のとおり、週末起業からの法人化であれば、あまり必要ない可能性が高いような気がする。あるいは法人化を機に大きく設備投資や人材投資をして大きく羽ばたく…みたいな場合には資金調達は必要だが、本ブログではそのようなスケールの話はしていないので、ここではちょっとした借り入れ、または創業融資などの選択肢程度と考えてもらうのが良いだろう。いずれにしても事業計画書などの提出が求められるので、そのような計画書の作成を経験し、自分自身の計画のブラッシュアップにも良い機会だろう。
法的要件の確認
設立に必要な法的な要件やライセンスについて確認し、適切な手続きを行う。これは週末起業から法人化の流れで、同じ事業をやっている限りは新たに必要になるライセンスや法的要件はほぼないはずだ。利用しているサービスが個人契約か法人契約かといった違いで料金体系が変わることはあるが、従事している「事業」そのものに対して法人だから必要になる要件となるとないのではないか。それはつまり法人で必要になるような法的要件であれば、それは個人で行っていても同じように必要になっているはずだ、ということだ。
商号の検討と登記
昔は商号の検討というのは結構しっかりとまじめに考えたやったように思うが、最近はどうなのだろうか。上場するような企業は商号もしっかりと考えられていて、意味も込められているが、個人でやっているような場合は結構適当でも問題ない気がする。前述のように、上場を視野に入れるような企業の場合は、そもそもその前段階で社名変更を行ったりもするので、この段階での商号にそこまでのこだわりを見せなくてもよいかもしれない。
称号の検討
会社のイメージや事業内容に合った商号を検討する。登記可能な名前であり、競合他社との重複がないように確認する必要があるが、それ以外についてはもう好きなようにやってくれって感じだ。こうな感じ、あんな感じといったそれっぽいアドバイスは出来たとしても、会社名なんて何でもいいともいえるのでやっぱり好きなようにやってくれ。
商業登記
商号を確定したら、商業登記所に商号と事業内容を含む登記申請書を登録手数料と共に提出。
商号の確認と登録
商業登記所が提出書類を審査し、商号が登録可能であるか確認。審査が通れば、商号が正式に登録される。一般的には商号は会社の顔とも言える重要な要素であり、法的な観点からも慎重に選定する必要があると言われているが、まぁそこまで真剣になる必要もないだろう。
唯一、今後の事業展開的に海外進出を検討しているときは商号には最大限注意した方がよい。特に、我々日本人は英語的な商号を考えようとすると英単語やラテン語などの語源から単語をピックアップしようとするが、その単語の意味はちょっとグーグルなどで検索をする程度だ。実は、その単語にスラング的な使われ方をしている場合などもあり、恥ずかしい思いをすることがないように注意が必要である。
登記手続きが完了すると、その商号は他の企業が使用することができなくなる。
定款の作成
絶対的記載事項
- 商号:合同会社〇〇、または〇〇合同会社
- 事業目的:会社として行う事業を明示する
- 本店所在地:法律上の住所。重要な書類はここに送られてくる。
- 社員(出資者)の氏名および住所。合同会社の社員は、従業員ではなく出資者であり経営者。
- 社員(出資者)を有限責任社員とする旨
- 社員の出資目的およびその価値(評価の標準)
相対的記載事項
- 持分の譲渡の要件:原則として譲渡には社員全員の同意が必要
- 業務を執行する社員(業務執行社員)の定め:無記載の場合は全員業務執行社員
- 代表社員の定め:業務執行社員=代表社員。1名でも複数でも可能
- 存続期間または解散の事由
- 社員の加入および退社の事由
任意的記載事項
- 業務執行社員の人数:業務執行権を持つ業務執行社員の人数を決めておきたい場合は記載
- 業務執行社員の報酬:定款に記載がなければ、原則として役員報酬は毎年の定時社員総会で決定
- 事業年度:決算月をいつにするかを決める
訂正となる可能性があるので、設立日そのものにこだわりを持った形で会社設立をしたい場合には、直接法務局に出向いて手続きを行うか、行政書士などに依頼をしてもらうのが望ましいですが、設立さえできればこだわりがないということであればそこまで気にする必要もないのかもしれません。登記申請が完了したら税務署に設立届出を提出し、無事に合同会社設立となります。
株式会社と比べると合同会社の手続きは非常にシンプルとなっており、早ければ3日程度で設立できます。
しかし手続きの煩わしさだけを重視して合同会社を設立するのではなく、やりたい事業が合同会社の形態に適しているのか?この点をしつかりと見極めてからスタートする方がトラブルも少なく済むでしょう。
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