会社を設立するというのは私が若かった頃にはとても手の届かない話だったのだが、いつの頃だったか忘れたが資本金の規制もなくなって1円でも会社が作れるようになった。それからさらに年月が経ち今となっては誰でも気軽に会社を設立できるようになっている。
コロナ禍を乗り越え、フルリモートワークも当たり前になってきた今となっては、より多くの人がフリーランスや隙間時間を活用した仕事を通じて週末起業を飛び越して、いきなり起業する人も増えているのが実情だろう。
釈迦に説法かもしれないが、どんな基準で法人にしているのか?をいう点について改めてまとめておく。
節税効果
時代も変わり2015年に書いているこの投稿は2023年の現在においては適応されない内容も多い。そのため完全に不可なものは内容を削除しつつ、当時に述べている内容を修正すれば現代でも適用できる内容についてはそのまま主旨を変えずに記載してみたい。
会社設立をしても色々と面倒な手続きが積み重なって結局デメリットの方が大きいのでは?と思っている人も多いが、週末起業、または別の形での収入がある場合は会社設立をした方がメリットを得られる可能性がある。代表的な例で言えば節税対策だ。
ただし2023年現在においては、あらゆる税金が高くなっていて、あらゆるものが物価高となっている。また為替も150円前後を推移し、長期金利の上昇圧力は依然として高い中で社会保険料の支払額もどんどん高くなってしまっているので、下手に法人を設立し法人側での売り上げ計上と自分自身への給料の支払い、それに伴う税金の支払いを終えたのち、さらに自分自身の税金の支払いをする必要があるので、設立した法人のそれなりの利益を出せていない限りはメリットを享受することは出来ない可能性もある。
あくまでも「利益」で年商ではない。そう考えると、やはり週末起業等での助走期間を十分にとって間違えのない形で法人化を行う方が賢明な流れともいえそうだ。
消費税
ここには2年間の消費税免除に関する記載がされていたが、インボイス制度が実施されている現在においては免税事業者か否かというのは取引上における一つの検討事項になってしまっている事実を踏まえると、必ずしもこの2年間の消費税免除を受けるべきなのかどうかは悩ましい判断となる。
間違ってはいけないのはインボイス制度の有無に問わず年間課税対象売上が1000万円を超えない事業主は消費税分の支払いが免除されるルールに変更はない。他方で、インボイス制度が実施された現在は、法人間取引を行う際、あるいは法人が個人事業主に仕事を依頼する場合も同様に、取引相手がインボイス登録事業者か否かによって発注側も決算上の消費税の納税の計算式が変わってしまうため、本音を言えばインボイス登録事業者同士での取引が最もスムーズである点は紛れもない事実となる。
そのため法人間取引をベースにしたビジネスを展開している場合、法人化をしたばかりであってもインボイス登録事業者になる必要が出てしまう人もおり、この場合は消費税免除のメリットを得ることは出来なくなる。
他方で、法人間ビジネスではない場合(例えば、一般消費者に向けたビジネスを展開している場合等)においては、この消費税免除のメリットを最大限得られるのは現在も変わらない点には言及しておきたい。
対外的な信用
一概に、株式会社だから信用できるという時代はとうの昔になくなってしまったが、大企業であれば取引をする際には会社の規模なども含めた審査をするようなところは未だに存在し、個人への発注はできないため法人になってほしい、という話に遭遇することももちろんある。
やはりフリーランスという働き方が一般的にはなりつつあるものの、より安全に事業活動をしたいと考える場合には法人化をすることによって得られる対外的な信用は少なからずあると考えておいた方がよいだろう。
お金が借りられる
もちろん意味もなくお金を借りることは難しいが、リスクを取ってでも事業を拡大したい、とかそういう「攻め」のタイミングにおいては、個人事業主でお金を借りるよりも法人の方がはるかに有利に資金調達をすることが可能。週末起業の延長線上で法人化を行っている場合には、既に当該ビジネスにて売り上げの実績をしっかりと示すことができるのでより確度が高い形で融資をうけることが可能になると考えられる。
採用活動に多少は有利になる
週末起業をしている中で、アルバイトを雇うとか他の労働力に対価を支払ってやってもらう状況ができていることは、成功している証となるが、個人で請け負う仕事を人に任せる場合、任せる相手が家族以外に及ぶ状況になると、やはり法人格となって人を採用する必要が出てくる。
大きな会社であれば人の採用には苦労はしないが、個人事務所や小さい会社の場合は人を集めることにも苦労をするので拡大期においては法人化をして人を採用していくのが良いだろう。
他にも多くのメリットがあるといえばあるが、例えば経営の合理化や相続対策といったものは、週末起業の延長線上にある場合には、少し距離があるメリットだし、社会保障関連のメリットであれば、会社負担分が発生することになるので、個人の延長線上にある会社設立という場合には、メリット・デメリットが一度に発生するためメリット換算してよいのかという話になってしまう。
いずれにしてもある程度の利益水準を超えている限りは法人化のメリットはあるわけなので、法人化を悩むような段階であれば、それよりも売上と利益を伸ばすことに集中する方が潰しがきくだろう。
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